7歳年下のうちの弟はちょっと変わっている。幼い時から友達と遊ぶよりも単独行動を好んでいたし、何かに夢中になりすぎていると名前を呼んでも気づかないなんて当たり前だったし、好きなことに対する知識は普通の子どもより深く、大の大人と対等に討論できるほどだった。かと言って人嫌いだったというわけではなく、むしろ初対面の人に対しても何度も会ったことのある人に対しても態度を変えず、積極的に自分からどんどん話しかける。「あの人知り合い?」と思っていたら、実は初対面だったなんてこともしょっちゅうだった。つかみどころのない性格からか、友達は多いけれど、浅く広い。
そんな弟は中学生になってもまだどこか浮世離れしているところがあり、数学や理科は学年トップなのに、英語や社会(歴史を除く)などはまるでできない。だけど本人もそれでいいと思っているらしく、どんなに親や私が言い聞かせても、苦手科目を伸ばそうとは絶対にしないのだった。
そんな弟、ゲームが大好きで、周りの友達からも一目置かれるくらいの腕前があるらしい。ある日弟から、「2000円くらいで買える金庫ってないのかな」と聞かれたので、「あるんじゃない?何入れるの?」と尋ねたところ、「ゲームソフトを入れようと思って」という答えが返ってきた。ゲームソフト?聞けばものすごく手に入りにくいアイテムを手に入れることができたので、それを金庫に入れたいのだそうだ。私はゲームをあまりしないからよくわからないけれど、でも貴重なアイテムを手に入れたからって金庫に保管したいっていう弟はやっぱりどこか人とはずれているということはわかる。
ネットで調べてあげたら、2000円どころか1000円で買えるものもあり、弟は早速それを購入することにしたようだ。金庫が届くまでの間、弟は寝る時も学校に行くときもずっとそのソフトを肌身離さず持っていた。弟のために、早く金庫よ届け、と思っている。